仏壇の購入を検討しているが仏壇にはどんなものがあるのか、そもそも仏壇は必要なのかなど悩んでいる方はいませんか?

昔であれば家には大きなお仏壇があり、代々祖父母や親から供養の方法や祀り方、お寺さまとのやり取りを受け継いできました。

しかし、今は親や祖父母とは別居が当たり前の時代になり、普通に生活していてお仏壇について教わったり聞くことはありません。

それでも大切な故人さまを供養するために仏壇購入を検討されていることと思います。

そんな皆さんのお役に少しでも立てるよう、ここでは「仏壇とは何なのか」「仏壇の種類」についてご紹介させていただきます。
※「祀る」という言葉を使用しない宗派の方は、「祀る」を「安置」と入れ替えてお読みください。

 

1.お仏壇とは

お仏壇とは、仏教や寺院においては仏像をお祀り(安置)する壇(須弥壇など)を指します。

一般的には、家の中(和室など)に置いて御本尊・脇侍と位牌もしくは過去帳をお祀りし、御先祖様や大切な故人さまの供養、また御本尊の礼拝のために使う壇を指します。

ほとんどが木製の箱型(縦長)で扉が付いており、中はお寺のご本尊を祀る祭壇(須弥壇・内陣)を小型化したような造りで、大きさは人の背丈を超えるものから家具の上に置ける小さなものまで販売されています。

2.お仏壇の起源

お仏壇は、江戸時代初期に誕生し普及していったとされています。

仏壇が生まれた理由には三つの流れがあると言われています。

一つは、江戸時代以前から貴族や武士が信仰の場としていた「持仏堂」がお仏壇の基になっているという考え方です。

「持仏堂」とはご本尊やお位牌をお祀りする部屋や建物のことで、寺院とは別に貴族や武士が日常的に礼拝するため自宅や別の場所に常設していました。

これが後に仏壇という文化になり、庶民にも普及したと言われています。

二つ目は、お盆に準備する祭壇の「魂棚(盆棚)」が常設化してお仏壇になったという考え方です。

「魂棚」とは江戸時代以前から日本人が先祖や新仏の霊を迎えるために作っていた祭壇で、現在は「盆棚」と呼ばれています。

民族学者の柳田國男は、この魂棚(盆棚)がお仏壇のルーツであると説いています。

三つ目は、「持仏堂」に設けられた「位牌棚」がお仏壇の基になっているという考え方です。

武士や貴族が建設した「持仏堂」には位牌をお祀りするための「位牌棚」が常設されました。

この「位牌棚」と現存する民家の中で最も古いお仏壇の形式が酷似していたため「位牌棚」が仏壇に変化したと言われています。

3.先祖供養と追善供養

お仏壇のルーツと言われている「持仏堂」「魂棚(盆棚)」「位牌棚」。

この三つに共通していることは、すべて先祖供養や故人の追善供養に使用されていたということです。

最近では日本人が宗教離れしているという声もを多く聞きますが、先祖供養や大切な故人さまの追善供養については現代の日本人にも受け入れやすいものとなっているようです。

特に先祖供養は、先祖の誰かが欠けていたら自分は存在しなかったと考えることができます。

先祖供養によって自らのルーツに敬意を払い、大切な故人さまの追善供養を行うことで、見えない存在が守ってくれていることへの感謝の気持ちが生まれ、心の安らぎや命の大切さを改めて実感できるかもしれません。

お仏壇は日本人が大切にしている先祖供養や故人の追善供養の道具だからこそ、長年大切にされてきたのではないでしょうか。

 

4.お仏壇の種類

お仏壇の種類は大きく2つに分かれます。

昔ながらの和室に合うデザインの「従来型」と、今の洋風な造りの家に合わせやすい「家具調型」です。

従来型

「従来型」のお仏壇は「伝統型」とも呼ばれ、「金仏壇」と「唐木仏壇」があります。

「金仏壇」は黒の漆塗りに金箔で加飾された「浄土真宗」専用のお仏壇で、箔押しや漆塗り、彫刻など職人の高度な技術を用いて製作されています。

「唐木仏壇」は、全ての宗派対応のお仏壇で「金仏壇」とは対照的に木の素材を活かしたシンプルな造りになっており、材料には輸入銘木(紫檀・黒檀など)や日本の銘木(欅・桑・屋久杉・桜など)が使われます。

今は、銘木の木目を転写やシート貼りしたもの、白木材を着色した製品も「唐木仏壇」と呼ばれています。

家具調

「家具調型」のお仏壇は「モダン仏壇」とも呼ばれています。

現代的な住宅に合うような造りになっており、宗派による縛りはなく家具のようなものや、デザイン性の高い仏壇も多く、サイズもコンパクに作られているため住環境に合わせやすいのが特徴です。

若い人たちや、2世帯で暮らしている方たちの人気を集めています。

5.お仏壇に使われる木材

お仏壇には様々な木材が使われており、それぞれのタイプの特徴に合った木材が用いられています。

金仏壇に使われる木材

まずは、日本固有種であり本州北端から屋久島まで自生している杉が挙げられます。

杉は木目の美しさに加え光沢があり、香りも豊かで建築材料や家具に用いられ、屋久杉などは超高級木材とされています。

その他に、香り豊かで水湿にも強く、菌や虫などに対する耐性もあり、乾燥も行いやすい耐久性に優れた檜(ヒノキ)や、強靭で狂いが少なく耐久性および耐朽性にも優れているという欅(ケヤキ)が用いられます。

唐木仏壇に使われる木材

唐木仏壇に使われる代表的な木材は、高級木材の黒檀と紫檀です。

黒檀は非常に堅いため、耐久性に優れた木材で、色は漆黒(種類によっては縞模様)で磨くと光沢がでます。

紫檀も非常に堅い木材で、虫や菌に侵されにくく、耐久性、耐朽性ともに優れており、肌触りの良い美しい仕上げりの木材です。

その他には、非常に堅く耐朽性・保存性に優れている鉄刀木(タガヤサン)、日本では馴染みのある桜や楠、高級家具に用いられるシャム柿などがあります。

 

モダン仏壇に使われる木材

モダン仏壇(家具調型)に最も使用されるのは、世界的な銘木のウォールナットです。

ウォールナットは、耐久性に優れており、虫の被害もうけにくく、表面に艶のある濃い褐色が出る美しい木材です。

その他には、耐久性・耐水性に優れているホワイトオーク、高級な家具や楽器、フローリングや建具に使われるメープルです。

6.お仏壇は必要?

住環境の変化に伴い、お仏壇を置くスペースの問題や、少子高齢化に伴い先祖供養をしていく後継者の問題など、お仏壇を取り巻く環境は時代の流れとともに変化し続けているので、昔のような立派なお仏壇を代々受け継いでいくのは難しくなってきました。

前述したようにお仏壇は、先祖供養や故人の追善供養に使用する道具や場所であればいいのです。

大きいお仏壇を購入する必要はありません。

お寺さまや仏壇店に相談しながら、皆さまが出来る範囲で先祖供養や大切な故人さまの追善供養の方法を考えてみてはいかがでしょうか?