お寺にはご本尊として大きな仏像が祀られています。
もちろん仏壇にもご本尊が必要で、仏壇の中央部にお祀りされます。
形状は「仏像」タイプや「掛け軸」タイプがあります。

新しく仏壇を購入する際に、ネットや通販サイトで検索しても、自分が必要なご本尊が分からないという方もいらっしゃるはずです。
しかも、普段生活する中で、ご本尊について知る機会や聞く機会はほとんどありません。
菩提寺やご先祖さまに失礼の無いように、仏壇を購入する前に知っておきたいものです。

ここでは仏壇にお祀りするご本尊の意味や、宗派で異なるご本尊など、ご本尊の選び方について紹介します。
※「祀る」という言葉を使用しない宗派の方は、「祀る」を「安置」と入れ替えてお読みください。

 

1.ご本尊とは

ご本尊とは、仏教寺院や各家庭の仏壇などに、最も大切な信仰の対象としてお祀りされる仏・菩薩などの「彫刻品(仏像)」や「掛け軸」のことです。

掛け軸には、仏や菩薩などの絵画、その他に曼荼羅や各号などがあります。ご本尊を家庭の仏壇に祀る場合、基本的には仏壇の最上段の中央に祀ります。

各宗派によって信仰の対象(ご本尊)は変わりますので、それぞれの宗派に合わせたご本尊をお祀りしましょう。

宗派や菩提寺、地域によって祀り方が変わる場合があるので、購入する際は仏壇・仏具販売店に確認しましょう。

ただし、ネットや葬儀場の紹介でご本尊を購入する場合は、トラブルがないよう菩提寺に祀り方を確認しましょう。

2.仏像と掛け軸

ご本尊には「仏像」と「掛け軸」があります。

少し前は、仏壇にお祀りされているご本尊の多くは「仏像」でした。

最近は、マンションにお住まいの方が増え、仏壇もコンパクになり「仏像」を置くスペースが小さくなったため、「仏像」に比べてスペースを取らない「掛け軸」のご本尊がベーシックとなっています。

ちなみに、日蓮宗は「お曼荼羅(掛け軸)」をご本尊としていますので、昔からご本尊は「掛け軸」をお祀りしていました。

3.宗派別ご本尊

臨済宗・曹洞宗・・・釈迦如来(しゃかにょらい)

日蓮宗・・・曼荼羅(まんだら)

真言宗・・・大日如来(だいにちにょらい)

浄土宗・・・船立阿弥陀如来

浄土真宗本願寺派・・・阿弥陀如来立像(西弥陀)

真宗大谷派・・・阿弥陀如来立像(東弥陀)

天台宗は特定のご本尊はなく、お寺によってお祀りしている仏様が違いますが、阿弥陀如来や釈迦如来が多いようです。

4.脇侍、脇掛

仏壇にご本尊をお祀りする際、最上段の中央にご本尊を据え、両脇に宗派で定められた「脇侍(わきじ・きょうじ)」をお祀りします。

脇侍は、如来を補佐する菩薩・天部・明王・祖師(宗派の開祖や高僧)など宗派によって異なります。

ご本尊の両脇に掛ける掛け軸を「脇掛(わきがけ)」と呼びます。
※脇侍の仏像も脇掛と呼ぶ場合もあります。

通常、ご本尊と脇侍はセットでお祀りします。

5.宗派別脇侍

脇侍は、宗派によって左右の位置が決まっていますので、間違えの無いようにお祀りしましょう。

曹洞宗・・・向かって左「常済大師」瑩山(けいざん) 向かって右「承陽大師」道元(どうげん)

臨済宗・・・向かって左「栄西禅師」 向かって右「達磨大師」

日蓮宗・・・向かって左「大黒天」 向かって右「鬼子母神」

真言宗・・・向かって左「不動明王」 向かって右「弘法大師」

天台宗・・・向かって左「伝教大師」 向かって右「天台大師」

浄土宗・・・向かって左「法然上人」 向かって右「善導大師」

浄土真宗本願寺派(西)・・・向かって左「蓮如上人」 向かって右「親鸞聖人」

真宗大谷派(東)・・・向かって左「九字名号」 向かって右「十字名号」

宗派や地域によっては多少異なる場合がありますので、ネットや葬儀場の紹介先で購入する場合は、トラブルがないよう菩提寺や地域の仏壇店へ確認を取りましょう。

6.ご本尊の種類

ご本尊の種類は、仏像(彫刻品)と掛け軸(絵画など)があります。

仏像の材質には金属、漆、木、石、土などがありますが、仏壇に祀る仏像を新たに購入する場合は、基本的に木彫りの仏像となり、木材の種類によって金額が変わってきます。

一方、ご本尊や脇侍の姿を絵に描いた掛軸は、従来型の仏壇からモダンな仏壇、小さい上置き仏壇にも合うように様々なサイズと種類の掛け軸が販売されています。

代表的な木材

白檀(びゃくだん)・・・高級木材。白檀の香りは仏様に好まれる香りと言われている。近年、入手困難のため希少価値の高い香木となっている。

柘植(つげ)・・・非常に緻密で硬い木材。細かな彫刻が施しやすく、高級櫛や将棋駒にも使われ比較的高価。

桧木(ヒノキ)・・・優しい香りと木目が特徴。その風合いや手に入りやすい価格から人気が高い木材。

掛け軸のタイプ

自立型(スタンド掛け軸)・・・自立するため単体で使用が可能。非自立型よりは高価なものが多い。

非自立型・・・自立させるには別途「掛け軸専用立て掛けスタンド」を購入する必要があるが、掛け軸そのものは比較的安い。

7.ご本尊の開眼供養(お魂入れ)

仏壇店などで購入したご本尊は、菩提寺で開眼供養(かいげんくよう)を済ませてから仏壇にお祀りします。
「お魂入れ」とも呼ばれるこの供養は、宗派によって呼び名が違い「入仏式」や「入魂法要」とも呼びます。

ただの仏像や掛け軸にお魂を入れることで、仏壇に「ご本尊」としてお祀りすることが出来るようになります。
開眼供養のタイミングは、一般的に四十九日法要と合わせて行うパターンが多いようです。

ただし、浄土真宗は開眼供養が無い場合があるので、必ず菩提寺もしくは仏壇店へ確認しましょう。

8.ご本の閉眼供養(お魂抜き)

使わなくなったご本尊を処分する場合は、菩提寺に依頼し、お魂を抜く「閉眼供養(お魂抜き)」を行ってから処分します。

お魂を抜くことで「ご本尊」の役目を終え、元のただの仏像や掛け軸に戻ります。
また、引っ越しや仏壇修繕の際もいったんお魂抜きし、再度仏壇を据える時に再びお魂入れを行う必要があります。

お魂抜きを行った仏像や掛け軸は、仏壇店や仏具処分の専門業者に依頼(有料)して処分してもらうのが一般的です。

9.まとめ

ご本尊は、地域や宗派によって異なりますので、ネットや葬儀場の紹介先で購入する場合は、トラブルがないよう菩提寺や地域の仏壇店へ確認を取りましょう

また、仏壇は一生のうちに何度も買い替えるものではないので、住宅事情はもちろん、実際の価値などを踏まえて選ぶようにしましょう。

まずは相談してみたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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